大正6年(1917)に西洋館と西洋庭園がイギリス出身の建築家ジョサイア・コンドルにより設計。日本庭園は、大正8年(1919)に庭園に芝生を初めて用いた植木職人7代目・小川治兵衛(おがわ じへえ、通称:植治)によって作庭。平成18年(2006)に国指定名勝に指定される。
バラの名勝として知られる旧古河庭園は、毎年5月中旬頃に「バラと洋館・日本庭園のライトアップ」イベントを開催。三脚や一脚は使えないが、ライトアップイベントの開始前日に設けられた「ライトアップ特別撮影会」は三脚や一脚の利用が認められます。参加は事前申し込みの抽選制です。
まずは洋館とバラ園のコラボレーション撮影。写真右上の照明に注目いただきたい。 バラが美しく照らされるように上部から照らしつつ、横方向への漏光がないように工夫された設備である。
配慮された照明施設であるが故に、このように庭園を眺めても照明が気にならず心地よい。こちらは焦点距離18mm(35mm換算)で撮影。
特別撮影会は19時と20時からの入れ替えでの2部制で各回30名となっている。当日のトワイライトタイムが18時50分~19時10分頃となるため1部での参加が撮影には最も適しているといえる。ただ、抽選制で時間帯は指定できないため運任せである。
さて、旧古河庭園では日本庭園も見逃せない。作庭は、明治時代を代表する小川治兵衛(おがわ じへえ)によるもの。植治(うえじ)とも呼ばれ、港区の国際文化会館 旧岩崎邸庭園や、京都の無鄰菴(むりんあん)など、いくつもの庭園を作庭した植木職人である。
心字池を中心とした池泉回遊式庭園であり、ライトアップイベント時は一部が開放されている。自然石による石橋の先には、雪見灯籠がみえる。また、中島の護岸石組は丸みのある石が使われ、近代の庭園であることを感じさせる。
雪見灯籠の右手には枯滝石組が造られているが、夜間は近づけずその姿を確認することはできない。また、漆黒の心字池にはライトアップされた景物や植栽が反射しており、実に美しい。
ポンプ式ではなく、井戸水を水源とした滝石組(大滝)。高低差は十m以上あり何段にも落とされている。写真中央のライトアップされているあたりが滝壺であり、滝壺に向かって沢飛石で繋がっている。また、滝壺手間には丸石が敷かれ、あまり例をみない珍しいものである。
心字池を囲むようにフットライトにより照らされた苑路が設けられ、雰囲気が良い。夜デートにも最適だ。
展望台へ向かう階段から洋館を眺める。バラ園に多くの観光客が集まるなか、穴場ポイントといえよう。
バラ園を見下ろす。一般的に日本庭園は左右非対称なデザインに対して、西洋庭園は左右対称のデザインであり、旧古河庭園では、その違いを見比べてみたい。
2019年よりライトアップされた馬車道沿いにある園内最大の崩石積(くずれいしづみ)。崩れそうで崩れない姿が美しいとされ、日本庭園を作庭した小川治兵衛による力作とされる。園内の散策ルート沿いに進むと、必ず通過するスポットであるが、少々暗い場所のため、ここを通過する人は少ない。ライトアップイベントの見所のひとつであるため、見逃さないようにしたい。
今回は縁あって特別撮影会に参加させていただいた。ライティング技術が優れ、都心にいることを忘れてしまうような素敵な空間であった。
○ | 洋館とバラ園のライトアップは実に美しく、ヨーロッパにトリップしたような気分になれる。また小川治兵衛による古庭園のライトアップまで愉しめるのは嬉しい。 |
× | 日本庭園のライトアップで、一部ブルーが使われているが、単色で統一したほうが深みがでるような気がした。 |