昭和10年に金井公園が開園してツツジの名所となる。昭和45年(1970)にモダンな庭園造りで知られる日本庭園史の研究家・重森三玲(しげもり みれい)による「聚花山の庭」、長男の重森完途(かんと)による「水車の庭」、江戸中期に作庭された「林泉の庭」の3つの庭園で構成。現在では日帰り温泉、料亭、ウエディング施設が設けられている。
広島市で人気の日帰り温泉「半べえ」に、重森三玲によって作庭された「聚花山の庭(しゅうかざんのにわ)」がある。庭園は広く開放されて、どなたでも自由に散策できるようになっていた。半べえ庭園は「聚花山の庭」、「水車の庭」、「林泉の庭」で構成されているが、当日は結婚式により「林泉の庭」への立ち入りができなかった。
石を積極的に立てた重森三玲の作風を感じる池泉回遊式庭園。苔山の中島は亀島であり、左の石が亀頭石、そして手前の岩島は舟石と思われる。
先ほどの亀島を反対方向から撮影。
こちらは鶴島。先ほどの苔で覆われた亀島と対比するかのように白砂が敷かれている。中央には中心石を兼ねた羽石、右側の斜めに据えた石が鶴首石、左側は尻尾を表す鶴尾石だろう。中心石:鶴島や亀島などの中心部に置かれる石
蓬莱島から出島へ繋がる石橋の四隅に置かれた橋添石。存在感のある立石は重森三玲らしさを強く感じとれるところ。奥には「龍門の滝」と呼ばれる滝石組がある。
龍門の滝は、金閣寺庭園(鹿苑寺)のスケールを大きくしたそのもの。水が落とされる場所には鯉が滝を登る様子を表現した鯉魚石を据えている。もちろん鯉が滝を登るようなことはできないが、ひたすら修行を繰り返すという禅の理念を石組で表したのを「龍門瀑(りゅうもんばく)」と呼ぶ。
NDフィルタを持ち合わせていないため、シャッター速度を最大限稼ぐためにf/11、ISO64の設定にて0.4秒で三脚を利用して撮影。
苔山による中島は方丈島。方丈島とは古代中国で仙人が住むとされる島で、他には蓬莱や壷梁(こりょう)、瀛州(えいしゅう)がある。
六角苑西側のエリア。護岸石組で囲まれた遣り水が作られ、苔、芝、タマリュウ、白砂で分けられた平庭に、雪見三角灯籠や三尊石などを配置している。
六角苑の入口近くにコンパクトな2段落としの滝石組がある、水が岩肌を伝い落ちる水落石は品良く、そして滝下には水流を左右に分ける水分石が2段それぞれに据えている。
聚花山へ続く苑路沿いに作られた「水車の庭」。こちらは昭和59年に三玲の長男である重森完途(かんと)によって作庭。
続いて江戸中期に作庭された「林泉の庭」。訪問時は結婚式のため立ち入りできず、「水車の庭」から撮影できたところだけをご紹介。こちらは曲水であり、奈良市の春日大社の「稲妻形 遣水の庭」と似た意匠である。曲水については浜松市の万葉の森公園 曲水庭園の記事を参考にして欲しい。
栗石による洲浜が作られ、その先には岬灯籠を据えており、桂離宮を摸したものと思われる。この角度からしか眺められないのが残念である。次回は平日に訪れてみたい。
半べえ庭園の案内図(公式サイトから引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 金閣寺庭園(鹿苑寺)の龍門瀑に匹敵する滝石組をみられる。また重森三玲と長男・完途の両作品が同時に楽しめる珍しい庭園である。 |
× | 特に見当たらないが、結婚式開催時は「林泉の庭」に立ち入れないため、事前に電話確認しよう。 |