がんこフードサービスの「お屋敷」業態のひとつ「がんこ高瀬川二条苑」は、貿易商で高瀬川を開削した角倉 了以( りょうい)の別邸跡地であり「高瀬川源流庭苑」とも呼ばれる。苑庭園の原形は当時(江戸時代)に作庭されたもので、茶庭は小堀遠州によって作庭。その後、 第3・9代総理大臣・山縣 有朋(やまがた ありとも)の別邸「第二無鄰菴」となり、植木職人7代目・小川治兵衛によって現在の姿となり、日本銀行総裁・川田小一郎の別邸などを経て、がんこ高瀬川二条苑となっている。
がんこフードサービスのお屋敷シリーズ。これまでに六三園(和歌山市)、楽々荘(京都府亀岡市)、山野愛子邸(新宿)を見学してきたが、高瀬川二条苑が最高峰である。いずれも食事利用者以外にも庭園を開放しているのが嬉しい。
係の方に庭園見学であることを告げて内部に入らせていただく。とても混雑している人気店舗であるため、ピークをずらした訪問が良いだろう。縁側沿いには鞍馬石の沓脱石が置かれ、その奥には蹲踞(つくばい)がある。
この蹲踞(つくばい)は着物の袖の形をしていることから「たがそでのつくばい」と名付けられているが、私には着物の袖にはみえない(笑)
続いて茶室前の茶庭へ。パンフレットによれば豊臣秀吉が好んだ金の茶室と同じ形式の中板三畳で、にじり口ではなく立ったまま入れる貴人口がある。
手水鉢から水が溢れでて、さざれ石を敷いた流れ伝って池へ流れ込む。
さざれ石の河口付近は沢飛石を打ち、奥は高瀬川の源流となる水流に架けた吉野石による石橋がみえる。
築山周辺が小堀遠州によって作庭された露地(茶庭)であるが、立ち入りはできない。小堀遠州とは徳川家康に仕えた大名であり茶人でもあり、代表作としては国指定名勝の頼久寺(岡山県高梁市)や、西教寺(滋賀県大津市)などが挙げられる。
一枚岩の滝。東山から高瀬川が滝のように流れるイメージで造られたとのこと。
一枚岩の滝。
吉野石による2本の切り石橋。写真中央の立石は鳥取市佐治町で採取される佐治石(さじがわいし)で、香川県の庵治石、新潟県の佐渡赤玉石(もしくは神戸の御影石)と並ぶ日本三大銘石である。
高瀬川へと水流が向かう。この写真だけみると三条とは思えない光景だ。
自然石による板石を橋としているのがみえるだろうか。
日月の灯籠。月が彫られ、反対側には円形の日が彫られている。
高瀬川源流庭苑(第二無鄰菴)の案内図
○ | 江戸時代の作庭家・小堀遠州による露地と、明治時代の作庭家・小川治兵衛(屋号:植治)による池泉庭園が合わさった貴重な庭園を京都の中心部で見学できる。 |
× | 特に見当たらない。 |