本記事は浜離宮恩賜庭園の年に数回開催されるライトアップの模様を紹介。 浜離宮恩賜庭園は徳川家綱の弟・松平綱重が家綱より与えられて海を埋め立てて屋敷を建築。その後、徳川家宣の時代に、徳川将軍家の別邸「浜御殿」と呼ばれる。明治維新後は皇室の離宮となり、昭和21年(1946)に浜離宮恩賜庭園として公開。(離宮:皇居とは別に設けられた宮殿)
浜離宮恩賜庭園は年数回ライトアップイベントがありますが、2022年より毎年実施されているのがお月見イベントです。2025年は「浜離宮でお月見散歩 ~将軍の御庭で栗名月を愛でる」というタイトルで実施され、トワイライトタイムから撮影開始。三連休の中日ではありましたが、大混雑はしておらず、気持ちよく散策できた。まずは、御亭山から夕暮れ時を撮影。こちらは17時になると閉鎖されるため、このような撮影ができるタイミングは10分ほどであった。
17時27分に撮影した様子。西方向であるため、まだ空に青みが残り、「潮入の池」に東京タワーや56階建て(地上190m)のラ・トゥール汐留が水面に反射している。こちらの池泉は都内唯一の海水の池であることから「潮入の池」と呼ばれている。ちなみに池泉回遊式庭園でもありながら、江戸時代は池泉船遊式庭園でもあり、江戸城から舟を運び池から庭園を観賞していた。いま、大名庭園で舟で観賞できるのは、香川県高松市の栗林公園ぐらいである。
正面にコンラッドホテルや電通本社ビルなどが控えており、ニューヨークのセントラルパークのような雰囲気も感じられる。
池泉に浮かぶ中島には、御茶屋があり、御茶屋とお伝い橋がライトアップされている。例年は北側のお伝い橋もライトアップされているが、今年は改修中により閉鎖されている。そのため、例年とは異なるルートで廻遊できる貴重なタイミングでもあった。
お伝い橋と中島の御茶屋。
中島の御茶屋とライトアップされた「中の橋」。その奥には勝どきエリアの高層マンション群だ。
お伝い橋とウォーターズ竹芝のタワー棟(26階)。
こちらが2025年だけの特別ルートであり、右手の中島橋を渡って八景山方面へ向かう。
このルートからは左手に「燕の御茶屋」「鷹の御茶屋」がライトアップされている様子を眺められる。
「燕の御茶屋」にはプロジェクターで月とウサギが映し出されている。
月見台お供え式。
左側が「燕の御茶屋」、右側は「鷹の御茶屋」である。どちらも江戸時代からあったものであるが、戦災で焼失して平成になって復元されたものである。「鷹の御茶屋」は農家風の佇まいとなっている。
こちらは平成になって復元された「松の御茶屋」である。家斉と思われるシルエットの趣向が面白い。
最後は6代将軍の徳川家宣(いえのぶ)の時代に植えたと伝わる樹齢300年の黒松。高さ8m、正面の枝張16.8mと関東の庭園では最大級とされる。
| ○ | お伝い橋と中島の御茶屋のライトアップと、周辺の高層ビル群の明かりによって、江戸時代と現代が融合した夜の大名庭園を演出している。混雑もさほどなく、夜の庭園イベントとしては日本トップクラスのものだと思われる。 |
| × | 特に見当たらない。 |