千如寺は弥生時代(178)に清賀上人によって開山した真言宗大覚寺派の寺院。奈良時代に聖武天皇によって勅願道場となったと伝わる。池泉庭園は室町時代に作庭される。また福岡県指定天然記念物の樹齢約400年といわれる楓があり、紅葉の名所としても知られる。
参拝客が池泉庭園を鑑賞できるポイントは3ヶ所あるが、最も眺望のよいポイントは立ち入れない。
中島はひとつにみえるが、実はふたつの中島である。図解すると北側と南側に一島づつ設けて、南側の中島には枯滝石組を設けている。
写真左が南の中島、右側が北の中島であり苔付いた石組が歴史を感じさせてくれる。また大小の刈り込みも面白い。
南の中島を別角度から撮影すると、中島の頂部にある立石が滝石であり、滝石から心字池に向けて枯滝石組を作っている。頂部周辺の刈り込みがやや大きすぎるため、もう少し刈り込み滝石の存在を出したほうが良いだろう。
こちは北側の中島であり、中島の山頂には置き灯籠があり、心字池を挟んで対峙するように置き灯籠がある。
この置き灯籠から流れを設けている。
先ほどの流れは客殿と書院の間まで続いている。護岸石組も一方は傾斜され、片方は垂直、さらに大小の石を織り交ぜた見応えあるものだ。
本堂は少し高い場所あり、その渡り廊から池泉庭園を見下ろす。
客殿と本堂を繋ぐ渡り廊下。
客殿の外廊下から福岡県天然記念物に指定された、樹齢400年の楓を主体とした枯山水を望む。
楓を主体とした枯山水であるため、冬期は本来の姿を感じとれない。ぜひ紅葉シーズンに訪問してみたいと思った。また枯山水を囲む生け垣も良く、特に奥の生け垣はカーブを設けて美しい。
公式サイトやネット記事では紹介されていないが、境内には87基の織部灯籠がある。弘法大使1150年御遠忌記念で昭和37年に設置されたものだ。御遠忌(ごえんき):50年毎に行われる大きな法要。
織部灯籠とは茶人・古田織部によって考案されたものでキリシタン灯籠とも呼ばれる。江戸時代初期にキリスト教禁止令のなか密かに信仰を続けていた隠れキリシタンの信仰物といわれる。このような織部灯籠が無数に建てられているのは世界でもここだけだろう。
○ | ふたつの中島を構成する石組は歴史を感じさせ、心字池から分岐する流れも良い。 |
× | 池泉庭園の鑑賞ポイントが限られており全体像を確認できない。 |