蘇梁館は江戸時代から明治時代にかけて北前船(きたまえぶね)での最大勢力であった久保彦兵衛家の邸宅を、平成15年(2003)に大聖寺へ移築したのものである。北前船とは、いわゆる買積み廻船のことであり、船主が買い取った商品を販売することで利益を上げる廻船のことである。枯山水は平成14年(2002)に作庭された。
まずは「波濤の庭」。波濤(はとう)とは大波のことであり、巨石を波に見立てている。
正面から「波濤の庭」を眺めると、大波が表現されているように見えてくるのが不思議である。
続いて「船石の庭」へ。「船石の庭」は日本海を航海する5船の北前船を表現している。北前船とは、いわゆる買積み廻船のことであり、船主が買い取った商品を販売することで利益を上げる廻船のことである。
刈り込み沿いに、いくつかの舟石を据えている。
こちらも舟石だろう。日本庭園での舟石とは、不老不死の妙薬があるとされる蓬莱山へ向かう、もしくは戻ってくる舟をイメージしており、長寿を願いを込めて造られていることが多い。ただ蘇梁館の歴史から考えると、このようなことを意図して造った枯山水ではないだろう。
自然石と碾き臼の飛石を交互に組み合わせた意匠も面白い。
蘇梁館で目を惹く長切石による延段。
最後に奥庭。窓を開けさせていただき書院から撮影。
「波濤の庭」「船石の庭」と比較すると一般的な枯山水である。
大きめの玉石を敷いた枯流れに石橋を架け、野筋には蓬莱山を思わせるような山形の石を据えている。
蘇梁館 案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 日本海の波をイメージした刈込みと、生け垣として借景との連続性が美しい。また大胆な長切石と飛び石、碾き臼の飛石の意匠も良い。 |
× | 特に見当たらない。 |