旧堀氏庭園(堀庭園)は、「主庭」「楽山荘庭園」「和楽園」の3つ庭園で構成。本記事では「主庭」「楽山荘庭園」を紹介。主庭は江戸中期(1785)に建築された主屋の庭園。楽山荘は明治33年(1900)に作庭。平成17年(2005)に国指定名勝に登録される。
3つの庭園で構成される旧堀氏庭園。本記事では「楽山荘庭園」と「主庭」を紹介。もうひとつの「和楽園」は旧堀氏庭園(和楽園)で紹介。それではまず、堀庭園で人気の楽山荘庭園から巡る。左手に岩山を配し、植栽に囲まれた池泉庭である。
楽山荘庭園は池泉回遊式庭園であり、苑路を散策できる。護岸石組は池底まで組まれており、丸みを帯びた柔らかい石が使われている。
楽山荘は風格のある木造瓦葺二階建てである。
岩山の一部を削って滝石組が造られている。滝壺に向かって沢飛び石が置かれ、落水ポイントに鯉魚石(りぎょせき)にもみえる水受石を配している。鯉魚石とは鯉が滝を登るようすを表現した石であり、詳しい解説は鹿苑寺庭園(金閣寺)の記事を参考にして欲しい。
岩山にも苑路が設けられている。右手には多重石塔(石で造られた多重塔)がみられる。
上から眺めると、入り組んだ出島の池泉であることがわかる。
出島には橋が架けられ、池泉には六角雪見灯籠と立石と伏石の二石で岩島を設けている。
巨石のこの岩島は、その姿から一般的に池中立石と呼ばれる。立石には黒松が育っているところからも歴史が伝わってくる。
客殿二階からの眺め。障子の下の部分がガラスになった「直ガラス障子」が使われ、外の景色を愉しめるようになっている。
開放感あふれる二階客殿。
二階客殿から県道17線を挟んだ反対側に、別記事で紹介する和楽園がみえる。
一階書院に戻り再び撮影。植栽が多いため緑一色であるが、紅葉時期は鮮やかな差し色が入り、1年で楽山荘庭園が最も美しく輝くときであろう。
場所を移し主屋にある主庭を撮影。主庭の中央を横断する形で飛び石が配置され、靴脱石へ繋がっている。
写真左手には三尊石風の石組がみつかる。楽山荘庭園と比較すると植栽が控えめで、石を主体として枯山水庭園である。
○ | 一階書院、二階客殿の開放感は素晴らしく、いつまでも座っていなくなるような静かな空間である。 |
× | 楽山園庭園は植栽が豊かすぎて、石組が目立たなくなってしまっている。 |