興聖寺は鎌倉時代(1233)に創建。僧侶の育生を目指す修行道場として全国最初に開かれ、曹洞宗最古の寺院でもある。その後、江戸初期(1649)に宇治にて再興され現在に至る。論文によると、庭園は昭和に作庭されたものとのこと。
宇治平等院から宇治公園を経由した2つの橋を渡り、約15分程のところに曹洞宗最古の寺院・興聖寺がある。観光寺のようにみえないが、駐車場完備(有料)で座禅や写経も受け付けている寺院である。
亀石組のような意匠であり、美しい石組で構成されている。
別角度から撮影、右手前の石が亀尾石で、築山頂の反対側にある立石が亀頭石であろう。
蓬莱山とおもわれる力強い立石は、三尊石風に組まれている。蓬莱山とは不老不死の仙人が住む山とされ、長寿の象徴である鶴石組と亀石組とセットで組まれることが多い。つまり、この庭園は蓬莱式の枯山水といえる。
ここから先は志納が必要。枯山水右手の廊下を渡ると券売機があり、パンフレットを受け取り山内を拝観。大書院から池泉庭園を眺める。日没から観光客を受け付けており、およそ朝5時から開門。拝観料が必要な寺院としては最も早いのでないだろうか。折角なので朝7時に訪問して、静けさのなか庭園を満喫する。
池泉庭園には石造多層塔と黒松を植樹した出島と、中島が造られている。
出島は丸石が組まれた滝石組となっている。
中島は沢飛石と切石による石橋が架けられていて、園内を散策できるようになっている。中島を取り囲む護岸石組はしっかりしたものだ。
石造多層塔に置かれた城模型。遊び心がある寺院のようだ。
大書院の反対側には山畔を活かした苔庭がある。ふかふかな苔が気持ちよさそうだ。
開山堂近くの枯山水は、記事前半で紹介している本堂前の石庭と同じ作者で昭和に作庭されたものである。枯池には夜泊石のように配置した石がみられる。夜泊石とは蓬莱へ向かう集団船(宝舟ともいう)が、夜のうちに船溜まりに停泊している姿を抽象的に表現したものといわれる。夜泊石の代表格は山口県宇部市の宗隣寺 龍心庭である。京都では鹿苑寺庭園(金閣寺)で夜泊石をみられる。
石橋の反対側から眺めると、石橋を跨いで石が連なっているのがわかる。江戸時代の絵図によると堀には水が湛えられ、枯れ滝の部分は本当に滝が二段落ちていたようです。
○ | 法堂前の枯山水が実はハイライトでありつつ、大書院も落ちついて座って池泉庭園を愉しめる。 |
× | 配管が目に付くことが多いので、上手く隠すなどの処理が欲しかった。 |