かつて板橋区で行われていた水田稲作を、昭和60年に再現したのが水車公園。平成元年(1989)には道路を挟んで水車公園を拡張して日本庭園が造られ、茶室「徳水亭」も建築された。
平成元年に作庭された日本庭園は、池泉庭園・枯山水・露地と庭園の三様式がみられる。23区では三様式をもって一般開放されている庭園は、ホテルニューオータニの日本庭園ぐらいだろう。まずは石庭から。パンフレットによると9個の石を配し須弥山を象徴する九山八海に見立てている。
茶室「徳水亭」に隣接する露地。茶室は事前予約で貸し切りできる。
客人が主人を待つ腰掛待合。ここから露地門を通って茶室に案内される。
庭園の構成は茶室「徳水亭」の周りの露地と池を中心とした浄土式庭園になっている。浄土式庭園とは極楽浄土の世界を庭に再現したものである。
写真には手前に鶴島、奥に亀島が映っているが、取材時は鶴亀島に気づかず細部の写真で紹介できない。次回訪問したときに更新したい。
ちなみに日本庭園に鶴亀をモチーフとした石組や松が存在することが多いのは、かつては今のように寿命が長くなく、長寿を願ったものだからだ。特に子孫繁栄を願う大名庭園や、武家屋敷の庭園で見られることが多い。
書院風茶室。
茶室に入室前に身を清めるための蹲踞(つくばい)。
池泉回遊式庭園を散策すると、沢飛石の右手に・・・
枯滝石組を設けている。大きめの2つの滝添石に間に水が流れ落ちる水落石を置き、滝壺には鯉魚石を置いている。鯉魚石とは、中国の鯉が滝を登ると龍になるという故事「登竜門」にちなんだ鯉を石に見立てたものである。もちろん鯉が滝を登るようなことはできないが、ひたすら修行を繰り返すという禅の理念を石組で表したのを「龍門瀑(りゅうもんばく)」と呼ばれる。
日本庭園 案内図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 平成に作庭された近代庭園ながらも、池泉回遊式庭園・枯山水・露地の三要素をもち、無料のパンフレットで庭園を優しく学べるようになっている。日本庭園初心者にもお勧めしたい。 |
× | 特に見当たらない。 |