雨の日こそ訪れたい京都の観光名所
晴天よりも雨天の方が美しい景色を楽しめるスポットがあるのをご存じでしょうか。それは日本庭園なのです。その理由は大きく2つ。
- 観光客が少ない
- 宿泊予約をしているような観光客は減りませんが、日帰りできるような京都近郊の方はお出かけを控えることで観光客が減ります。気象協会と民間企業の調査データでも「雨の日の京都府内の幹線道路の通行量の減少は大きく、晴れの日と比べて約75%減少している」というファクトもでているぐらいです。
- 庭園がより美しくなり、写真映えする
- 青空の方が美しいというのは、修学院離宮や桂離宮など広大な敷地をもつ庭園。京都の庭園は限られた境内に作庭された庭園のため空の割合が狭いです。また晴天だと逆光になったり、明暗で写真が綺麗に撮影できないことも。雨だとそんな心配もなく、特に雨により苔は青々とし、石は濡れることで艶が生まれます。
そこで雨の日こそ訪れたい、室内から濡れずに拝観できる庭園をご紹介していきます。
目次
雨の日に訪れたい庭園12選 全リストと地図
光明院 波心庭
2017年頃までは穴場化していた光明院ですが、テレビなどメディアで紹介される機会が増えてきたことにより徐々に人気が高まってきました。
そんな光明院は室町時代に建立された東福寺の塔頭寺院であり、庭園は昭和を代表する作庭家・重森三玲によるもので、京都でも屈指の枯山水。雨天時の苔の美しさはいうまでもなく、雲に見立てたツツジの刈り込みも見逃せないところである。
アクセス | JR・京阪「東福寺」駅 徒歩10分 |
駐車場 | 道路向かいに1台のみ無料駐車場あり。 東福寺には無料駐車場が多数あり。ただし紅葉時期は閉鎖 |
拝観時間 | 7時頃~日没まで |
拝観料 | 志納(300円以上) |
真如堂(真正極楽寺)
比叡山延暦寺を総本山とする天台宗寺院である真正極楽寺。真如堂には2つの枯山水があり、ひとつめは五山送り火の「大文字山」を正面に望める「涅槃の庭(ねはんのにわ)」。もうひとつは、
日本庭園史の研究家・重森三玲(しげもり みれい)の孫にあたる千靑氏によって作庭された「随縁の庭(ずいえんのにわ)」。三井家の家紋である四つ目の家紋をモチーフにした枯山水である。
アクセス | 市バス(5,7,17,102,203系統)で「錦林車庫前」下車 徒歩8分 |
駐車場 | あり(無料)ただし、紅葉シーズンは駐車不可。 |
拝観時間 | 午前9時~午後4時(入園は午後3時45分まで) |
拝観料 | 大人 500円 |
圓徳院(円徳院)
高台寺に塔頭寺院である圓徳院(円徳院)は、豊臣秀吉の正室(本妻)である「ねね」の愛称で知られる北政所(きたのまんどころ)が晩年を過ごした。高台寺は京都を代表する国指定名勝の寺院であるが、庭園では圓徳院に軍配があがる。
紅葉時期も美しいが、落葉すると築山の据えた石組が際だつことから冬の観賞もお薦めしたい。
アクセス | 市バス「東山安井」下車 徒歩7分/京阪「祇園四条」駅から 約10分 |
駐車場 | あり(拝観者は1時間無料、料金体系や残台数は高台寺 駐車場で確認。) |
拝観時間 | 午前10時~午後5時30分(入園は午後5時まで) |
拝観料 | 大人 500円 |
智積院(ちしゃくいん)
成田山新勝寺、川崎大師平間寺、高尾山薬王院を大本山にもつ真言宗智山派の総本山が智積院。格式高い書院からは中国の廬山と揚子江の景を摸したといわれる築山と池泉のある庭園を観賞できる。特に滝石組は滝上部に石橋を渡す玉澗流(ぎょっかんりゅう)と呼ばれるもので、京都ではここでしかみられないものだ。
また書院裏手には枯山水も拝見できるので見逃さないように。
アクセス | 京阪「七条」駅 徒歩10分 市バス206,207,208系統で東山七条下車 |
駐車場 | あり(参拝者に限り無料) |
拝観時間 | 午前9時~午後4時 |
拝観料 | 大人 500円 |
建仁寺
2022年の「そうだ京都、行こう。」のCMロケ地にもなった建仁寺。鎌倉時代に創建した建仁寺は京都五山の第3位でもある古刹。京都五山とは 南禅寺を別格として、1位 天龍寺、2位 相国寺、3位 建仁寺、4位 東福寺、5位 万寿寺(非公開)である。
建仁寺には3つの枯山水があるが作庭家の北山安夫による潮音庭がハイライト。潮音庭は中庭になっており四方から眺められるが、どの方向から眺めても破綻なく美しい。
アクセス | 京阪「祇園四条」駅 徒歩7分 市バス 206系統・100系統「東山安井」 徒歩5分 |
駐車場 | あり(有料) |
拝観時間 | 午前10時~午後5時 |
拝観料 | 大人 600円 |
相国寺
室町時代に3代将軍の足利義満により創建された相国寺は、日本初の作庭家ともいわれる夢窓疎石(むそう そせき)が初代住職となる。また水墨家にして作庭家である雪舟も相国寺出身であり、庭園にゆかりの深い寺院だ。
相国寺では方丈後庭にある「裏方丈庭園」が見どころだ。細長い庭園を大きく掘り枯流れを設け、人が訪れないような奥深い自然の地を表す深山幽谷(しんざんゆうこく)を表現している。
アクセス | 地下鉄「今出川」 徒歩約8分 市バス同志社前 徒歩約6分 |
駐車場 | あり(無料) |
拝観時間 | 午前10時~午後4時30分(午後4時受付終了) 春と秋の特別公開時のみ見学可(開山塔庭園「龍渕水の庭」は秋のみの特別公開) |
拝観料 | 大人 800円 |
大徳寺 大仙院
あぶり餅のお店が近くにある今宮神社から徒歩5分の距離に大徳寺があります。敷地内には多くの塔頭寺院があり、書院から見える庭園が点在しています。そのなかで庭園で最も著名なのが大仙院です。
ただ大仙院は写真撮影が基本禁止されています。基本禁止というのは、2021年に現地で確認したところ、1方向3万円で撮影できるというお話を伺っています。ただ個人の趣味としてはなかなかのプライスですよね。とはいうものの、枯山水の神髄を感じとれるような庭園であることは事実。撮影はできないものの足を伸ばす価値がある庭園といえよう。
アクセス | 市営地下鉄「北大路駅」から市バスで「大徳寺前」まで約5~10分 京都駅から市バスで「大徳寺前」まで約45分 |
駐車場 | あり(有料) |
拝観時間 | 3~11月 午前9時~午後5時 12~2月 午前9時~午後4時30分 |
拝観料 | 大人 400円 |
大徳寺 瑞峯院(ずいほういん)
大徳寺境内で前衛的な庭園を愉しむのであれば瑞峯院がお薦めである。庭園好きなら誰も知る日本庭園史の研究家・重森三玲によって作庭された枯山水は「独坐庭(どくざてい)」と呼ばれます。
また苔の野筋と刈込み(生け垣)のシームレスなグラデーションも見事。
アクセス | 市営地下鉄「北大路駅」から市バスで「大徳寺前」まで約5~10分 京都駅から市バスで「大徳寺前」まで約45分 |
駐車場 | あり(有料) |
拝観時間 | 午前9時~午後5時 |
拝観料 | 大人 400円 |
大徳寺 興臨院(こうりんいん)
室町後期に創建した興臨院。昭和50年に方丈の解体修理時に「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家・中根金作(なかねきんさく)により庭園が復元されている。石橋を繋ぐ両側の立石で、仙人の住む不老不死の地を表現している。
ない本院は春秋のみ特別公開であるため、訪問前に公式サイトで公開日を確認しておこう。
アクセス | 市営地下鉄「北大路駅」から市バスで「大徳寺前」まで約5~10分 京都駅から市バスで「大徳寺前」まで約45分 |
駐車場 | あり(有料) |
拝観時間 | 午前10時~午後4時 春秋の特別公開時期のみ拝観可 |
拝観料 | 大人 600円 |
妙蓮寺
どことなく龍安寺 石庭に似た雰囲気をもつ石庭。豊臣秀吉によって伏見城より移された臥牛石(がぎゅうせき)を釈迦に見立て、それ以外の15石を釈迦の弟子の中で最も位の高い地位となる羅漢に見立てた「十六羅漢石庭」になっています。
7月に取材を行っているため、既にサツキは剪定されてしまったが、4月中旬から5月下旬に拝観すればピンクに染まったサツキと十六羅漢石庭の彩り豊かな石庭を楽しめることでしょう。
アクセス | 京都市営バス9系統 堀川寺ノ内バス停から徒歩3分 |
駐車場 | あり(無料) |
拝観時間 | 午前10時~午後4時 定休日:水曜日 |
拝観料 | 大人 500円 |
龍安寺 石庭
特別名勝の「龍安寺 石庭」は世界遺産にも登録されている京都を代表する観光名所。室町時代に創建さされ、石庭は江戸幕府の茶人としても知られる小堀遠州と推測される。(諸説あり)
この石庭は黄金比で石を配置してあり、同じ場所から15石を一度に眺められないといわれている。ただ私が現地で確認したところ、15石を確認できる視点が存在していた。詳細は龍安寺 石庭の詳細記事で確認してほしい。
ちなみに黄金比での配置を図解しておきますね。
アクセス | JR京都駅から市バス(50番系統)で立命館大学前下車 徒歩7分 |
駐車場 | あり(1時間無料) |
拝観時間 | 3月1日~11月30日 午前8時~午後5時 12月1日~2月末日 午前8時30分~午後4時30分 |
拝観料 | 大人 600円 |
観智院
真言宗の総本山である東寺の塔頭寺院である観智院。東寺から徒歩1-2分の距離にある観智院は、あまり知られていないが、室町時代に作庭された枯山水「四方正面の庭」と、2017年に作庭された枯山水「長者の庭」を見学できる。
特に写真の「四方正面の庭」は室内の廻遊式となっており、これまで紹介していきた庭園とは趣の異なるものである。
アクセス | 近鉄「東寺」駅 徒歩10分、市バス18・71・207系統「東寺東門前」 徒歩1分 |
駐車場 | あり(有料) |
拝観時間 | 午前9時〜午後5時(入園は午後4時30分) |
拝観料 | 大人 500円 |